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豆魚雷のAmazing Artist Collection Vol.6/ 山本翔 粘土造形:『サラマンダー、マイコニド』 作者・山本翔さんロングインタビュー【第一回】

            

こんにちは、原田プリスキンです。

 

粘土造形作家・山本翔さん(山本翔 粘土造形)による「豆魚雷のAmazing Artist Collection」第6弾、『サラマンダー、マイコニド』

 

 

2015年夏の大阪『アメージングモデルエキスポ』、幕張『ワンダーフェスティバル』にディーラー出展し、素晴らしいセンスと超絶な造形テクニックを持った知られざる作家の登場に見る者全員が驚愕させられました。「だ、誰なんだこの人は……。」

 

一気に人気作家となった山本翔さんですが、いったいどんな人なのか? 知りたい! ということで、ロングインタビューにお付き合いいただきました。

全5回でお送りする予定です。それでは、第一回をどうぞ。

 

※ ※ ※

 

 

豆魚雷・原田(以下・原田):
まずみんなが一番気にしているのが、山本さんっていったい何者なのかということだと思います。物凄く上手い方が素晴らしい作品を引っ提げて彗星のように現れて、誰なんだこの人はと沢山の人が驚きました。すごいインパクトでした。

 

山本翔さん(以下・山本):
いやっ……(恐縮して)ありがとうございます。

原田:
実のところ、お会いして最初に思ったのが「イメージと違う」。作品の印象から、クールで全身黒づくめの格好みたいな方を想像していたんですが。

山本:
それはよく言われます。けっこう安心した、みたいな……(笑)。

原田:
作品が耽美なので、ご本人もアーティスト感ばりばりなのかなって少しビクビクしてました。

山本:
あまり出ないほうがいいんじゃないかって周りには言われてました、作品イメージを壊すと(笑)。

原田:
そんなことないですよ。でも実はお話ししやすくてほっとしています(笑)。お幾つでいらっしゃいますか?

山本:
34歳です。多分佐藤さん(絶滅屋・佐藤和由さん。AACには「邪神怪獣クトゥルフ」で参加)と同世代ではないかと。

原田:
ずっと福岡にお住まいでいらっしゃるんですか?

山本:
はい、ずっと福岡ですね。

 

原田:
では、山本さんの造形活動についてお伺いしたいのですが。どういう過程を経て今に至るのか、お伺いできますでしょうか。

山本:
大学はデザイン学科だったんですが、週一でテーマ課題をどのような形式で制作してもいいという授業があり、そこで立体物を作ったのがきっかけですね。その後、卒業制作でクレイアニメを作りました。

原田:
どんな路線の作品だったんですか? クレイアニメというと、「ウォレスとグルミット」みたいな可愛いのを想像しますが。

山本:
自分のはけっこう気持ち悪いほうでして(笑)。ヤン・シュヴァンクマイエル(※)を大学の授業で流していて、そのインパクトがすごかったんです。

原田:
シュヴァンクマイエル、なるほど! チェコのアニメですね。

 

※ヤン・シュヴァンクマイエル……チェコのアニメーション作家、映画監督、シュルレアリスト。多くのストップモーション・アニメの短編、『アリス』『ファウスト』などの長編映画を監督している巨匠。


山本:
それまでは娯楽映画しか観てなかったので、こういうジャンルがあるということを初めて知りました。当時は絵がメインで、映像の方もはじめて……そこで卒業制作というときに、絵と映像と立体と全部ひっくるめたものをやりたいと思いまして。クレイアニメならそれができるかなと考えました。

原田:
そうだったんですか、それは意外でした。クレイアニメの粘土といえば、プラスティシンですね。

山本:
それが、そういったものを知らなくて。友達からスカルピー(※)の存在を教えてもらって、焼き固めたものに関節を仕込んで動かしてました。

 

※スカルピー……焼くことで硬化する樹脂粘土。

原田:
その時点でスカルピーを、なるほど!

山本:
なのでクレイアニメというよりはストップモーションでしたね。それからは撮影より、立体物を作るのが面白くなってしまいました。

原田:
そうなんですね。ちなみにどんな内容だったんですか?

山本:
今振り返ると恥ずかしいですよ、大学生ならではというか。ダーウィンと人間を創造した神が対立するというストーリー……科学と宗教の対立……よくわからないですよね(笑)。

原田:
お手元に映像はあるんですか?

山本:
それがもうないんです。テープしかなかったから、どこへ行ったか……。

原田:
あらら、もったいない。ちなみに絵というのは、どういった作品をやられていたんですか?

山本:
はじめアクリルなんかを使っていたんですけど、Photoshopで描くようになりました。モチーフは今みたいな架空のものではなくて、昆虫の絵が多かったですね。

原田:
生物にずっと興味がおありだったんですね。

山本:
そうですね、風景や人物画よりは生物が多かったです。課題とかそういうものでない限りは、大学を出るまで今作っているような架空のものを描いたりというのはほぼ無かったと思います。まずは基本的なものを学ぼうということもありましたが、自分のデザインになかなか自信が持てなかったというのもあり、現実に存在するモチーフが多かったですね。

原田:
なるほど。

山本:
作風のルーツでいうと、上田義彦さんという写真家の方が有名なデザイナーさんと一緒に写真集を出されてですね……。東京大学の博物館の別館のほうで、研究が終わって処分される標本だとか剥製だとかを、アーティスティックなオブジェとして撮影した写真集があったんです。名前が『写真家上田義彦のマニエリスム博物誌』というもので、かなり影響を受けていると思います。

 


原田:
今回上田義彦さんの写真というものを初めて拝見しましたが、ずばりルーツ感がしますね。

 

※収録されている作品


山本:
たまたまクレイアニメがきっかけとなって造形をはじめましたが、この写真集が作風への影響としては大きいです。写真撮影した時の雰囲気をこういう風にしたいと思っていました。父親が写真をやっている影響からか、写真に映った時のイメージは重要視しています。

 

※山本さん自身の撮影による写真。


原田:
この本すごくいいですね、なんだか欲しくなってきました。

山本:
手にしたくなる本ですよね。アクリルのケースに入っていて。この本にも共通するのですが、科学博物館の雰囲気が好きなんです。博物館に小さい頃から憧れがあって。図書館とかに置いてある教育漫画(※)で、東京上野の国立科学博物館を軸にしたものがありまして、それをずっと読んでいました。

(※たかしよいち/吉川 豊 「まんが化石動物記」)

原田:
地元にはそういう博物館は?

山本:
近くにはありませんでした。

原田:
憧れを持ち続けていたんですね。

山本:
そうですね、なので上野には大学生になってから見に行って。「博物館」というものが自分の中で占めている割合は、かなり大きいのかなって思います。

原田:
博物館、なるほど。そのあとの造形活動というのは……。

山本:
大学院に行って、そこでもクレイアニメをもう一本作ったんです。社会人になったらそういうことができなくなるだろうなと思いまして。就職してからは、しばらく造形には触れていませんでした。

原田:
ゲーム関係の会社に入られたと伺いました。

山本:
はい。主にCGグラフィックのほうをやっていました。

原田:
ちなみになんですが、山本さんが業界に入られた頃って、ハードはなんでしたか?

山本:
PS2もまだありましたね。3が出てない頃くらいだったのかな? 2006年に会社に入ったと思います。ちょうどPS2のゲームの仕事をやっていたと思いますので。

原田:
その頃だとグラフィックと言っても、2Dと3Dとありますよね。

山本:
両方ありましたね。絵が必要だったら描いて。始めの頃は3Dを扱えてなかったので、テクスチャだけ描いたりとか。

原田:
そのような形でゲームのグラフィッカーをやりつつ。どのようなきっかけで今のように作品を作られるようになったんでしょうか。

山本:
友人が京都の会社に勤めていたんですが、福岡に戻ってきて、大学の同期で展示をやろうという話になりまして。1、2年に一回くらいグループ展をするようになりました。そこからになります。

原田:
どんな作品でもいいということだったんですか?

山本:
はい。絵も出品したんですが、せっかくなので粘土作品も作ってみよう……ということで年に数点、粘土造形をやるようになりました。

原田:
それは時期でいうと何年くらい。

山本:
たしか、2007年くらいかと思います。

原田:
今の作品はかなり一貫性があるように感じますけど、はじめからこの路線だったんですか?

山本:
この時は現実の生物を作ってました。生まれたてのヒヨコだったり、ヌードラットだったり。ドッキリの小道具のノリで、これが突然机に置いてあったら驚くかなと思って(笑)。ばかばかしい発想ですが、なるべく本物に見えるように作るのが目的でした。スカルピーの透明感を生かし、血管を表現するために色のついた糸など埋めたりして、色々実験していました。あと毛を張り付けたり……。


※初期作品「ひよこ」。インタビューのあとに写真を送っていただいて、あまりの凄さに絶句しました。

 

山本:

そのうちに自分の発想を少しずつ出していこうかという考えになり、「天使」のような架空の生物を作るように。


原田:
今の路線は「天使」から?

山本:
確かそうだったと思います。


原田:
あくまで展示用で、写真やネットで世に出したりはしてなかったんですね。

山本:
そうですね。しかも、もうこれも残ってないんです、割れてしまって。塗装も当時はスカルピーに直接塗っていたりで、すぐ壊れてしまいました。

 

※こちらも後日送っていただいた、初期作品「天使」の写真。すさまじい。現存しないのが残念。


山本:
それから、強度がありつつ、透明感が欲しくてレジンに置き換えるということを始めました。その時は、あとでガレージキットにするとはまったく思っていなかったです……(笑)。初めてまともに置き換えれたのは「海坊主」だったと思います。

原田:
「海坊主」いいですね、大好きです! いつの作品なんですか?

 

「海坊主」


山本:
記憶があやふやなんですが、2014年くらいですね。

原田:
先ほど透明感と仰いましたが、本当に皮膚の透明感が感じられる彩色で。とても見事なんですが、どのように習得されたんですか?

山本:
特に何かをしたっていうのはなかったんですが、中学生のときに短い期間ですがプラモデルを作った経験があったんです。MGやHGという出来の良いプラモデルが出たと聞いて、素組で作って塗装をしただけですが、ザクを作った覚えがあります。その時参考に『ホビージャパン』という雑誌を読んで、プラスチックに色を付ける塗装の種類だとか、そういうものに多少の知識がありました。そのへんの素材や道具を使って、という感じです。

原田:
出ましたね、『ホビージャパン』。

山本:
AACの他の方のインタビューにも出てきてましたね(笑)。

原田:
偉大な雑誌だなあ(笑)。

山本:
塗装の仕方をプラモ屋のおじさんに聞いたらこの本に載ってるよ、とか教えてもらって。それで基本的な部分は知っていたので、それを生かして塗ってみようと。それは複製する前の、スカルピーに直接塗っていた時期から、そのやり方でやってました。

 

【第二回へ】

 

※ ※ ※

 

インタビュー第二回はこちら

インタビュー第三回はこちら

 

『Amazing Artist Collection Vol.5 山本翔粘土造形: サラマンダー、マイコニド』特設ページ

 

『豆魚雷のAmazing Artist Collection』特設サイト

 

山本翔 粘土造形(公式サイト)

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