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【メイキング】ビッグチャップ・スタチュー/ 二つのリファレンス

            

原田プリスキンです。
 

 



豆魚雷が贈る「エイリアン/ ビッグチャップ 1/3スケール・スタチュー」、そのメイキングをこのブログで綴っていきます。語ることが多すぎてテンポの良い更新ができるかわかりませんが、このスタチューの魅力を知っていただけるよう、頑張ってまいります。楽しんでいただければ幸いです。

まずは、このスタチューを作るにあたっての大きな指針となった、ふたつのリファレンスについて解説したいと思います。

◆3Dスキャンデータ

 


ひとつめのリファレンス。この写真は、三島わたるさんが所有している、ビッグチャップの複製原型をスキャンしたものです。

 

映画に出てくるビッグチャップがどのようにして作られたかを、簡単に説明します。

ビッグチャップをメインで演じたのは、2メートル10センチの長身を誇るナイジェリア出身のデザインを専攻する学生、ボラジ・バデジョです。「エイリアン」のキャスティング担当のピーター・アーチャーによって、バーでスカウトされました。
 


まず彼の全身の型を取って、ボラジの体型のマネキンを作ります。

 

 

それにH.R.ギーガーがプラスティシン(クレイアニメにも使われるイギリスの粘土)を盛り付け、パイプやチューブや機械部品、人間や動物の骨などを埋め込んで原型を作りました。
 


 

そのギーガーが作った原型から鋳型を作り、
 


それにラテックスゴムを流して作られたものが、映画で使用されたビッグチャップのスーツなのです。
 

 

この鋳型にラテックスではなくFRP(繊維強化プラスチック)を流すと、スーツのように柔軟性がなくて硬い「複製原型」ができあがります。これがなんと日本、中野にあるのです!

持ち主は、言わずと知れたエイリアン・プレデターの専門店、「PSYCHO MONSTERZ」の三島わたるさんです。
 

 

PSYCHO MONSTERZに行くと、店頭にドーンと巨大なビッグチャップが置いてあります。世界中にコレクターのネットワークを持つわたるさんだから入手できたわけで、さすが我が師匠!

僕らのスタチューを制作するにあたり、そんなわたるさんは半月をかけて、自らその複製原型の3Dスキャンを取ってくれました。

途中途中でスキャンの風景の写真を送ってもらっていました。下半身のスキャンを行うときはバケツに逆さに突っ込んで固定していたので、犬神家みたいで最高に面白い。
 


いつかブログで公開していいかと聞いたら、色々な意味で恥ずかしいのでイヤだそうです。いつか説得したい。
 

 

これは3Dデータの胸の部分です。

造型のときについたと思われる、粘土に押し付けられた指紋があちこちに確認できるのですが、これはひょっとしたらギーガーのもの……? そんな情報が読み取れてしまうほど、精細度を最大に設定した超高解像度でスキャンされています。

 


これは手の甲の部分。

おもむろに余談ですが
 

巨大なビッグチャップは、もちろんギーガーひとりだけの手によって作られたものではありません。
メインの助手は、彫刻家のエディ・バトラーです。さらに、シャーリー・デニーとパティ・ロジャースというふたりが、ギーガーの指名で参加しました。

 

 

シャーリー、パティ、バトラー

 


尻尾を造型するギーガーとバトラー。
この二人はとても気が合い、スムーズに仕事を進めることができたそうです。
まずギーガーが半身を作り、バトラーはそれを見て反対側を同じように作っていくというかたちで、ビッグチャップの造型は進められていきました。

 


ビッグチャップは二の腕の小判状の蛇腹が一番わかりやすいのですが、おもいきり非対称になっています。全身にわたってこんな具合に歪みまくっているのです。

まったく左右対称でないこの歪みがまた面白く、奇妙な味で、ビッグチャップの魅力のひとつになっているようにも思えます。

ということで、全身の指紋はもちろんギーガーのものかもしれないし、エディ・バトラーかもしれないし、シャーリー、パティ、またはビッグチャップ以外(スペースジョッキーや遺棄船など)で造型助手を務めたピーター・ボイジーや、当時のギーガーのパートナー、ミア・ボンザニーゴのものかもしれない。全然別の人のものかもしれない。制作当時のことに思いを馳せるのは心が躍るなあ、という話でした。

そんなロマンを感じさせるほどに精密な情報がぎっちりと詰まった、エイリアンファンからすれば夢のような3Dデータです。これを組み上げればそのままスタチューにできてしまうほどの最強の武器を、わたるさんのおかげで手にすることができました。

そう、これを組んで3Dプリントすればそのまま商品化できてしまう。が、これはあくまでリファレンスとして使用することにします。今回僕らが作りたいのはギーガーの彫刻ではなく「映画のエイリアン」であり「あのポーズのエイリアン」なので、さらにたくさんの情報が必要になります。

※  ※  ※

◆高解像度写真
 

もうひとつの強力な武器は、写真です。
 

1978年10月、エイリアンのプロモーション用にスチル撮影が行われました。

 

 

 

 


上の写真は2010年頃からネットに出回ったので、非常に有名です。ファンの間ではもはや常識となっていると言ってよいでしょう。
 

今回僕らが作ったスタチューのモチーフとなった写真も、同日に同じ場所で撮影されたものです。
 


この日は何枚が撮影され、いったい何枚が現存するのかは明らかでありません。まだ見たことのない写真もあるはずです。

昨年5月に発売された、フランス語翻訳版のノベライズ本があるのですが
 


この中にもたった一枚、見たことのない「この日の写真」があって仰天しました。



ビッグチャップがくすくすと笑っているようです。この本のこの写真は、昨年訪れたギーガー・ミュージアムで藤本さんが発見しました。写真のインパクトもあって、ふたりで飛び上がりそうになりました。

この日のすべての写真を知りたい……。探求は続きます。

さて、この写真の数々を撮影したのはフランス出身の写真家さんです。故あって名を伏せますが、藤本さんの調査がきっかけとなり、彼の連絡先を入手することができたのです!

だめもとでメールを送り、返信が届いたときの興奮は忘れられません。メールを開く手が震えました。

彼は、エイリアンの特殊効果を手掛けたニック・アルダーに「映画の撮影現場の写真を撮ってくれないか」ということで、バーでスカウトされたそうです。(ボラジ・バデジョもバーでスカウトされましたから、面白い共通点です)彼はユニオンに所属していなかったので、非公式のメイキング・カメラマンとなりました。

ノストロモ号やナルキッソス号といった、ニック・アルダーが手掛けた特殊効果の舞台裏を収めた写真はもちろん、先述のプロモーション用写真も撮影したのです。

残念ながら、屈みポーズをはじめとして、同日に撮影された写真は彼の手元にありませんでした。が、別の日に撮影された写真を譲っていただけることになったのです。
 


譲っていただいた中の一枚。非常に有名な写真ではありますが、
 


こんな解像度のものを見たことはありますでしょうか! なんとA3サイズという大判です!

この白黒写真は、「ケナー」のアクションフィギュアや「mpc」のプラモデルなど、おもちゃのための資料、つまりマーチャンダイズ用のリファレンスとして撮影されたものでした。
 


ボラジ・バデジョが顔を出した状態の写真、これも有名なものです。
 


しかし、この解像度。大興奮です。よく見知った写真に、ここまで情報が詰まっていたのか! 驚きと発見の連続でした。

この2枚を含む、5枚の写真を彼とのコンタクトで入手。プロジェクトチームに激震が走りました。

ギーガーによる原型とスーツでは、ディテールの異なる部分がたくさんあります。具体的にどう異なるのか、それをどのようにスタチューに取り入れたのかは今後更新していくブログで細かく語っていきたいと思いますが、理屈立てて推測し、仮説を編んでいた部分がこれらの写真で一気にクリアになったのです。ウンウン悩んで意見を交換する日々が続いていましたから、この有無を言わさぬスッキリ感はたまりませんでした。

 


また、別のルートからも何枚かの高解像度写真を入手しました。

 


これは別の写真家さんによる写真ですが、
 


この解像度です。この写真は口周りの皺の造型の、大きな助けになりました。

他にも手に入れた高解像度の写真は
 

 

 


このあたり。いずれもファンの間では有名な写真。しかし三枚目の写真だけは、よく知られている
 


この写真とは似て異なるものでした。手のひらに注目です。
 


↑こちらがよく知られている写真。
 


↑こちらが今回入手した高解像度の写真です。手の形が違う! 連続して撮影された写真のようです。

※  ※  ※

このように、わたるさんによる3Dスキャンデータと、当時の高解像度写真の数々。いちエイリアンファンとしても喉から手が出るほど欲しいこれらの資料は、スタチュー制作の強力な助けとなったのです。

次回へ続きます。

■エイリアン/ ビッグチャップ 1/3スケール・スタチュー ご予約はこちらから
https://mamegyorai.jp/net/main/item_detail/item_detail.aspx?item=528575

※おまけ
 


お気づきの方も多いでしょうが、我々のスタチューの商品案内用の写真は、当時のスタジオの状況(背景に使用された紙や照明の位置など)を推測し、再現して撮影しました。(さすがに背景紙の切れ目などは、悪ノリが過ぎるのでやりませんでしたが。)ノリノリでこのお遊びに乗ってくれた、酔狂なカメラマンのショウさんに感謝します。

◆原田プリスキン


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